ことの始まりは、高知の田舎のどうしようもない現実から始まった。

2014年、市民有志でつくる「四万十映画祭実行委員会」(米津太委員長)が、四万十市や幡多地域を舞台に制作した映画「あらうんど四万十〜カールニカーラン〜」(松田大佑監督)の制作を立ち上げた。

高知県西部に位置する四万十市。
最後の清流四万十川が流れるそれは美しい街、四万十市含む県西部(幡多地域)は2005年3月に唯一の映画館「中村太陽館」が閉館し、映画の無い街となってしまった。

映画館のない街。

これがどれほど地元に暮らす人々にとってショックなことであったかは、容易に想像がつくと思う。
田舎の人にとって時折家族で訪れる映画館は最高の楽しみであり、唯一の娯楽であった。

そんな虚無感にさいなまれていても、何も始まらない!と、映画という文化がなくなってしまったこの街を、もう一度映画の力で街を元気にしよう!と、2013年第1回四万十おきゃく映画祭が開催され、第2回に向けて地域の方達と一緒になって映画制作を執り行なうことになった。

その後は、すべて「メイド・イン・高知」に徹底的にこだわった。
監督・キャスティングから細部に至まで高知とゆかりのある人々が繋がり、地元の応援、県の応援を受け、さらに映画制作に不足な資金を クラウドファンディングにて集めることに成功させた。

高知の西の果てから何かが動き始めたのだ。


原案は西尾純哉氏。
監督・脚本:松田大佑氏(四万十市出身)が指揮をとることとなった。


物語はこう始まる。

高校時代、所属する駅伝部の主要メンバーだった晃、タケシ、ヤス、シュンの仲良し4人組。常にまわりから一目置かれる存在だった。しかし、その後は努力を怠り、パッとしない日々。気が付けば40歳が目前に迫ってきていた。

役者になる夢を諦め帰郷した晃を迎え、行きつけの居酒屋で、かつてのように語らう4人。あらためて思い返すと、駅伝以外に何かをやり遂げた経験がない。いつしか人生全般、逃げ癖がついていた。口をついで出た言葉は、俺たち昔は輝いていたな――。

気落ちするなか、思いついたのがロードレース「四万十ドラゴンライド」への参加。 
「この大会でいいところを見せて、俺たちはまだ終わっちゃいないって証明しないか」

かくして4人のアラフォーの、挑戦が始まった。


高知から一歩も出たことがない生粋の高知県人であるアラフォー女の私は、この感情は多いに理解出来る。
ある程度輝いた青春時代。
夢に向かって進んでみたものの、パッとしない日々。
田舎で家業を継いだり、都会での生活に消耗し「都落ち」して帰ってきた者。
家族との関係をこじらせてしまった人。

「こんなはずじゃない」

自分への苛立ちを隠しながら、自分に嘘をつきながら生活していると、周りの人、特に大事な人は「嘘」をつかれているということを瞬時に察する。いや、察してしまうのだ。

それは誰よりも貴方を大事に思っているから。

そんな葛藤を胸に4人の物語は始まる。


まさにアラフォー。
家族がいても自分に「嘘」をついて生きるのは本当に辛い。
私の場合はこの「四万十ドラゴンライド」が「ブログ」な訳である。
何ができるかわからないけれど、腐ったようにただ毎日をやり過ごすよりかは何でもいいからまず挑戦してみているのだ。たとえ、ぶっ倒れようが、ぶっこけようが、夢中になるものに賭けてみているのだ。

まさに土佐弁で「かーるにかーらん」=「変わるかもしれない」のだ。

そして劇中の四万十市の風景は格別だ。
私も四万十市には何度か訪れたことはある。
美しい四万十川。
沈下橋。
そこから恩恵を受ける食は本当に美味しい。
四万十市中心部にかかる赤鉄橋と夕やけのコントラストは最高に綺麗なのである。
小京都と呼ばれているように街中に気品が溢れていて、少しの流行も気に留めない上品さが私は好きだ。


一番の驚きはこの映画の撮影がたった2週間の強行突破であったことだ。
それなのにこのクオリティ。
山本學さんの演技は目を見張るものがある。

見事、第2回四万十おきゃく映画祭での初上映を皮切りに、沖縄国際映画祭、カンヌ・フィルム・マーケット出展 正式上映を果たし、今なお快進撃は続く。

ドリパス公演では9月にTOHOシネマズ高知・10月新宿完売。
11.2にはTOHOシネマズ六本木での上映が控えている。

このドリパス公演の成功により10.31よりTOHOシネマズ高知新居浜で上映開始となる。

高知の西の果ての小さい街から始まった『希望』と『挑戦』は大きな渦となって誰かの心を動かし始めている。
全国にいる同郷の方々には是非観て欲しいし、ときたま高知にも帰ってきて欲しい。
何もないあの田舎も今ではそれではいけないと小さな力や声がそこらじゅうから溢れかえっている。
漲るエネルギーを感じて欲しい。
そう。よさこいみたいなあのエネルギー。

赤い情熱みなぎる人達と一面に広がる青い海と空。振り向けば緑深い山々。
ふるさとも捨てたものではないはずだ。


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